2008年度たたかいの方針


T 私たちをめぐる情勢の特徴
  政府・与党の推進してきたいわゆる「構造改革」路線は、私たち医療現場で働く労働者はもちろん、国民すべてに大変な痛みを押し付けて進行してきました。
  構造改革路線は小泉内閣の時に本塔的にスタートしました。それから数年、このまま進んでいいのか、日本の政治の在り方が厳しく問われる事態になっています。
  構造改革路線は医療・社会保障の分野ではどのような影響をもたらしたでしょうか。医療構造改革の実態を見てみましょう。

  医療構造改革の中心的な考え方は、ズバリ医療費をどのように抑制・削減するかにあります。具体的にはいわゆる「団塊の世代」が高齢期を迎え、高齢者人口がピークとなる2025年になっても医療費は増やさなくてもよい「構造」への「改革」です。そのために毎年2200億円の社会保障費を削減する数値目標をかかげています。この目標を達成するために診療報酬の連続引き下げはもちろん、医療機関に対しては在院日数の短縮を求め、しまいには療養病床の半減に近い大幅削減をすすめ、後期高齢者医療制度の導入によって、医療費のかさむ高齢者を別の制度に移行するという大変乱暴なやり方をおしすすめてきました。病気になっても医療機関にかからなければ、あるいはかかれなければ、医療費は発生しないということです。

  こうした医療構造改革の進行の結果、現在の医療崩壊が引き起こされてきたことは明らかです。私たち医療現場で働く労働者には厳しい労働実態と低賃金構造が押し付けられ、国民にとっては病気になっても医療機関にかかれない、かかる医療機関がない、入院するベッドがないという事態を招きました。同様な無残な結果は、国民生活のどこを見ても見て取ることができます。 中でも雇用の流動化などといって人材派遣を全面的に解禁してきた罪は大きなものがあります。雇用形態の多様化によって、いわゆる正社員はごく一部、その他は低賃金、有期雇用の労働者に置き換えて、企業の都合でいっでも増やしも減らしもできるようにするという一連の労働・雇用分野での構造改革・規制緩和は今日の貧困を生みだしました。

  いまや労働者の三人に一人は不安定雇用、若年層では二人に一人が不安定雇用と言われています。これが構造改革の結果です。生活保護基準より低い最低賃金と相まって、構造改革によって意図的にワーキングプアと呼ばれる状態が作られてきたことは明らかです。医療分野同様、日本社会の根幹を揺るがす大問題になっています。
  大切なことは、構造改革によって押しつけられたこれらの事態に対して、今あらためて「本当にこれで良かったのか」という模索が大規模に広がり、また具体的な反撃が各分野で始まっているということです。

  医療では先ごろ、日本医師会が2200億円削減計画撤回を正面に掲げて集会を開催しました。
  四月から実施された後期高齢者医療制度をめぐってはかつてない規模の反対の世論が日本全国に広がりました。当初予想されていたより大幅な「譲歩」を含んだ、あるいは「凍結」と「先送り」だらけの制度としてスタートしました。これも大きな特徴です。
  また登録型派遣、いわゆる日雇い派遣大手のグッドウィルを廃業に追い込んだ労働者たちの運動。名ばかり店長のたたかい。不安定雇用労働者の組織化の進展など、具体的な成果となっています。
  さらに昨年7月の参議院選挙で自民党0公明党の与党二党が大敗。安倍首相が突然の退任という大事件の後は、福田首相のもとでも山口の補欠選挙、沖縄の県議会議員選挙など、大きな政治戦で与党が勝てないという状況が続いています。福田内閣に対する支持率は実に2割台を割り込み、もはや危険水域に達したと報道されました。
  こうした一連の出来事は構造改革路線に対する反撃、国民の厳しい審判として大きな重みを持っています。

  国民はだまっていない、大変な模索が広がっているということをしっかりとつかんで、労働組合がその果たすべき役割をしっかりと果たすことが求められる情勢です。
  海外に目を移しても同様な状況が広がっています。アメリカを中心とした軍事力による世界支配を目指すやり方は、国際的な支持を失い行き詰りつつあります。イラク・アフガニスタンの戦争を見るまでもなく、こうしたやり方は限界です。クラスター爆弾を規制するという大きな意味を持つ国際条約もまとまりつつあります。また核兵器・放射能兵器の全廃を求める国際世論も、大きく広がっており、注目すべき動きです。
  さらに中南米を中心にアメリカによる新自由主義経済による経済支配に反発する動きも大きく広がりました。アメリカの経済支配に対抗する政権が次々と生まれ、自主的・自律的な国づくりへの模索を見るときに、改めて日本政府の対米従属の姿勢が際立ってきます。

  東京都では「石原銀行」とも呼ばれる新銀行東京の事実上の経営破たんと、これに対する反省も責任もあいまいにした追加融資に象徴されるように、都民生活そっちのけで展開される石原都政の独断ぶりが、都民生活を圧迫しています。清瀬・八王子・松沢の小児病院の廃止と府中への統合を始めとする都立病院の統廃合計画を先頭に、強引なオリンピック誘致計画、汚染地帯への築地市場の移転、学校教育への支配と統制の強化など、高い支持率とは裏腹な政策は、今後大きな批判にさらされることになるでしょう。来年の都議会議員選挙の取り組みが重要になっています。

  こうした情勢のなか、健生会・地域保健企画でも厳しい対応が迫られています。
  立川相互病院の病院機能評価更新、DPCの導入をはじめ、プライバシーマークの認証更新、在宅分野を中心に24時間対応へのシフト、リハビリ分野の体制強化、立川相互病院の看護基準維持のための全法人的な看護支援体制など、大きな課題が続きました。
  いずれも医療水準の維持・強化という積極的な面はありつつも、現場で働く私たちにとっては大変な負担になっていることも事実です。現場の実情を踏まえた、より慎重な対応が求められるところです。組合員・職員の大奮闘にもかかわらず、経営の到達は厳しい状況が続いています。健生会の2007年度決算を見ると、経常利益は●●万円の黒字を確保し、3年連続の経常損益赤字を回避しました。しかしこの到達は事業収益が予算から●●万円の未達であったにもかかわらず、事業費用を●●万円削減したことで生み出されたものです。十分な収益を確保したのではなく、一時金など人件比率の削減によって確保した黒字では手放しで喜べない状況です。また収益の予算未達と地域の方々・職員から貸していただいている協力債の減少から、資金繰りが悪化しています。このため、医療機器など償却資産の購入を一部中止せざるをえない状況です。

  組合員の実感からすれば、十分ではない人員体制の中で日夜奮闘しているにもかかわらず、どうして厳しい経営状態から抜け出せないのか、疑問を感じざるをえません。政府に対して医療構造改革路線の転換を迫るとともに、同時に健生会理事会に対しても組合員・職員の生活を守るた桝こ一層の役割の発揮が求められます。

U たたかいの基本方向

1.憲法をまもり、平和な日本と世界をつくる取り組み
  政府・財界は依然として憲法を改悪する野望をあきらめていません。一昨年に成立した改憲手続き法によって改憲のための国民投票が実施されることになります。世論調査によれば憲法改悪反対が過半数を占める状況になっています。憲法をまもり、武力によらない平和を日本と世界の隅々に広げるために取り組みます。
2.医療構造改革をやめさせ、医療・社会保障を拡充させる取り組み
  医療崩壊に歯止めをかけ、国民医療を再生させるにはまず、医療構造改革路線を根本的に改めなければなりません。このことは今や私たちだけではなく、広範な医療関係者の共通した要求になっています。医師・看護師の増員、後期高齢者医療制度の廃止など、広く患者・地域住民にも呼び掛けながら取り組みをすすめます。また社会保障財源確保を口実にした消費税率の引き上げに反対する取り組みをすすめます。
3.医師・看護師・介護職員の増員をめざす取り組み
医師・看護師の増員は医療崩壊を打開する大きなカギです。いまや安心してかかることができる医療供給体制を望む人なら誰でも一致する要求。私たちの粘り強い取り組みの結果、政府もようやく、医師・看護師数の絶対的な不足を認めつつあります。国民医療を守り、私たちの労働条件を改善するために、この流れを一層確かなものにして、具体的な増員を実現する取り組みを引き続き強めます。また同様に深刻な人手不足に陥っている介護職員についても介護報酬の適切な引き上げと増員を求める取り組みをすすめます。
4.医療・介護労働者の生活と権利をまもり、貸金・労働条件を大幡に改善させる取り組み
  他産業に比べても一段低い医療・介護労働者の賃金水準の大幅改善を目指します。特に介護分野の低賃金は、生活するに足らないものになっています。また、子育て・介護など一人一人のライフスタイルに合わせた支援によって生涯にわたって働き続けられる労働条件の確立が必要です。日本の医療・介護を現場で支えている私たち労働者に働き続ける賃金・労働条件が保障されなければ、制度の将来に関わる事態となります。「診療報酬が低い」「経営が厳しい」から一歩踏み出した取り組みをすすめます。
5.学習をかさね、全組合員が主人公の活動をすすめる取り組み
  労働組合の活動は組合員一・人一人が主人公です。組合員の要求をみんなの力を合わせて実現していいきます。そのた捌こは、組合員一・人一人が要求実現の力をつけることが必を要です。支部執行委員・支部委員はもちろん、全組合員が学習でき、参加できる活動をすすめます。また要求の幅を大きく広げ、労働と生活の様々な部面に対応できるよう、労働組合としての力量の向上を目指します。あわせて非常勤職員の労働組合への加入をひろげ組織の強化をはかります。医労連共済への加入促進をはかります。
6.産別・地域との連帯を深め、要求実現、労働運動の前進の力を大きくする取り組み
  同じ医療の現場で働く仲間同士が、法人の垣根を越えて協力すること。患者・住民はもちろん地域で働く仲間にも脇力を広げることが大切です。東京民医労、東京医労連をはじめ、対応する地域労連などへの結集を強め、産別の力、地域からの協力を広げながら、要求実現の大きな力にします。